令和8年度 校長あいさつ
本校は、愛媛県の南西部、南予地方の宇和島市にあります。宇和島市は宇和海と鬼ヶ城山系に囲まれた城下町であり、現存する12の木造天守のひとつである宇和島城は、国の重要文化財に指定されています。また、多種多様な柑橘類栽培や、日本有数の生産量を誇る真珠や鯛・ブリの養殖、じゃこ天や蒲鉾等の練り製品の加工が盛んな、魅力あふれる地方都市です。中核産業である水産・海洋関連産業は、これまで衰退産業と考えられることもありましたが、世界的には養殖魚需要の高まりや物流における海運の重要性などを背景に、現在では大きな可能性を秘めた成長産業として注目されています。
本校は、今年度創立82周年を迎える、県下唯一の水産・海洋系高等学校です。これまで、「和敬・克己・勤勉」の校訓のもと、水産・海洋関連産業で活躍する人材を数多く輩出してきました。現在は、本科が海洋技術科、水産増殖科、水産食品科の3科、専攻科が漁業科・機関科、水産増殖科の2科を設置し、地域や水産・海洋関連産業界等と連携しながら、地域に貢献できる「海のスペシャリスト」の育成に取り組んでいます。
一方で、少子化による生徒数の減少、情報化・グローバル化の進展などにより、高等学校・中等教育学校を取り巻く教育環境は大きく変化しています。このような状況を踏まえ、愛媛県教育委員会が策定した「愛媛県県立学校振興計画」で、本校は令和9年度から宇和島南中等教育学校と統合し、宇和島南高等学校水産科として新たな歴史を歩むことが決定しています。この統合により、長い歴史を持つ宇和島水産高校の名称は幕を下ろすこととなりまますが、本校は今回の統合を水産科が大きく飛躍するチャンスと捉え、生徒一人ひとりが誇りをもって学び活躍できるよう、より率の高い教育の実現を目指してまいります。また、統合に向けた取り組みの一つとして、本校の象徴である大型実習船6代目「えひめ丸」の建造もスタートしました。さらに、地域水産業の活性化を目的とした「えひめ水産業次世代人材育成事業」も実施されることとなり、産官学金が連携したコンソーシアムを構築することで、水産・海洋関連産業に貢献する人材育成の持続可能な仕組みづくりにも取り組んでいます。
本校は、昨年度から宇和島市のご支援を受け、本格的に全国募集に取り組んでおります。これまでも県外からの入学生はいましたが、地域の少子化の影響を大きく受けている現状を鑑み、積極的に県外生徒の受け入れを進めていきます。全国の「海、船、魚」が好きな中学生の皆さん、本校で学び、水産・海洋分野で活躍しませんか。本校は企業や大学と連携した商品開発や研究活動に加え、長期航海実習でのハワイ寄港、アメリカ・台湾・ベトナムなど海外でのマグロ解体ショーの実施など、生徒が国内外で活躍するチャンスが数多くあります。ホームページやインスタグラム等でも発信していますのでぜひご覧ください。
最後に、宇和島水産高校として決して忘れてはならないのが、4代目「えひめ丸」の事故です。令和9年2月10日で事故から26年を迎えます。私たちは、事故の記憶を後世に伝え続けるとともに、命の尊さ、家族や仲間の大切さ、周囲の皆様との絆への感謝の気持ちを忘れることなく、生徒と教職員が共に学び、成長し続ける学校でありたいと考えています。今後も、教職員一丸となって教育活動に取り組んでまいりますので、引き続き本校へのご支援とご協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
愛媛県立宇和島水産高等学校長 吉村 暢洋